各務原市役所の某部長との話。

 

最近、市内で2件の孤独死があった。

孤独死が発見されると、警察による検視などの捜査がおこなわれ、事件性がないと、ご遺体は一時、警察の冷蔵庫に保管され、その後、市役所にご遺体が引き渡される。

身寄りがない場合は、無縁仏として市が火葬などおこなう。

しかし、この部長は、「無縁仏をつくるな!」と、部下に指示をし、徹底的に身寄りの調査をおこなう。

 

お一人に関しては、親兄弟は皆すでに亡くなっていた。

それでもあきらめずに調査し、ついに他県に住む甥っ子の所在を突き止め、連絡をいれた。

もうお一人は何年も前に離婚をした相手を探すが、この相手がフィリピン人の女性であった。

すでに母国へ帰ってしまっているかもしれない。

それでもあきらめずに調査し、他県に住む元妻とその2人の子どもの所在を突き止めが、連絡を入れるがとれず、内容証明で手紙を送った。

これらの調査の間も、警察からは「早く引き取りに来てください!」と圧力もあったが、それに屈さず粘り強く調査し、連絡を取り続けた。

 

結果、2件とも連絡した身寄りの方たちは、各務原市役所を訪れ、話を聞き、その後、職員と一緒に火葬場で火葬をし、遺骨を拾われた。

葬儀費用も支払われた。

フィリピン人妻の2人の子供たちは、すでに20代半ばになっていたが、一度もお父さんを見たことがなかった。

それでも、涙をながしながら、遺骨を拾われていたそうだ。

 

この部長は、こう熱く語る。

「事務的に処理すれば簡単だった。

部下にも苦労をかけた。

でも、親子関係をはじめとする人間関係が希薄になってきている今、簡単に無縁仏を出してはいけない。

地味な、誰にも評価されない、こんな積み重ねが、いい社会づくりに大切なんだ。

我々は、いい仕事をした!」

こんな職員は「役所の鏡」だと、胸が熱くなる思いがした。

2人の仏さんは、きっと成仏されたことだろう。